

2020年7月31日は犠牲祭が行われました。犠牲祭の様子をレポートします!
途中に生々しい様子の写真があるので注意してね!

犠牲祭って何?と気になった方はこちらの記事をご覧ください。
羊犠牲祭 Eid al-Adhaとは?【モロッコの年間最大行事】
モロッコの犠牲祭は2020年7月31日に決まりました。
あいにく、新型コロナの影響で、都市によっては移動が制限され、家族と過ごすのが難しくなった今回の犠牲祭。
夫は一足早く犠牲祭の準備のために、実家のカサブランカに戻っていました。
そして私は犠牲祭の前日に一人でカサブランカへ移動することに。
カサブランカは数日前に再びロックダウンになってしまい、
行けるかどうかわからない状況で前日に電車のオンラインチケットを購入しました。
目次
ラバトの鉄道の駅が閉まっている!?

当日、Rabat Ville駅に着いてみるとびっくり!
ゲートが閉まっており、その前に人だかりが!!
え、駅が閉まっている!?
電車の出発時刻15分前ですが、駅に入れません。
事態がのみこめず、呆然と立ち尽くしていると、
モロッコ人女性が一人、ゲート外から中にいる職員に向けて呼びかけ、何やら必死に訴えていました。
職員がゲートに近寄ってきて彼女と話し、
その彼女の手のスマホにはオンラインチケットの画面が。
それを職員が確認し、何やらその人だけを通しているじゃありませんか!
私はこれは行けるのか!?と希望がわき、
「私も私もオンラインチケットなら持ってる!!」とその職員に訴えました。
訴え甲斐がありました。
職員は私のチケットを見て、この重々しいゲートを私一人を通すために再度開けてくれました。
ふぅ、なんとか無事に駅に入れて感動。。
そしてちゃんと時刻通りに電車がきて、無事にカサブランカへ移動することができました。
ポイント
駅が閉まっている、チケットを持っていたら入れるといった情報・アナウンスがないモロッコ。とにかくその場の人に聞くしか手段がありません。
羊はいくら?

さて、みなさんは羊をどのように買うか、疑問に思いませんか?
私は疑問に思っていました。
なぜなら普段では売られているところを見ないからです。
犠牲祭が近くなると、羊は大型スーパーの駐車場に特設会場ができて売られます。
カルフールというスーパーで金額をチェックすると、1kgあたり45dhでした。
だいたい1頭あたり、小型40kg〜70kg、大型はそれ以上くらいかと思われます。
金額感ではおおよそ1頭2000dh(25000円)〜4000dh(48000円)ぐらいです。
とくに今年はコロナの影響で、カサブランカは羊の入荷数が激減。
そのため価格が高騰したようです。
義実家の場合、義父の友人が羊のバイヤーをしているとのことで、直接バイヤーが家にきて購入したようでした。
2頭のつもりでしたが、この小型を安くしてくれるとのことで、私たち夫婦用でいただくことにし、合計3頭購入しました。

犠牲祭当日
まず、リビングルームで家族が集まり合同でお祈りをしました。

義実家では屋上のテラスで犠牲するようで、犠牲中に他の羊がその様子を見れないようにと目隠しを準備しました。
羊たちは朝方からソワソワしていました。
羊はわかるんだろうと思いました。
ちなみに、羊にも性格があるようです。
一頭は落ち着きがなく、他の二頭に喧嘩をふっかけていました。
トラックの荷台から降ろすときも逃げてトラックに戻ったようです。
他の二頭は穏やかな性格でした。
小型の三頭は大型の羊に隠れてじっとしていました。
おそらく形見が狭かったのかもしれません。

一番威勢の良い羊から犠牲することに。
ここから先は犠牲の様子、犠牲後の写真が登場します。
人によってはグロテスクと感じるかもしれませんので、生肉を見るのが不快な方はページを閉じるか、スクロールスピードをあげてください。

たまたま偶然、義兄の子供達と服がかぶりました。笑
今年のトレンドです♪
さて、ここから先は犠牲の様子の写真です。
お祈り後、犠牲

アッラーの方角を向いて、お祈りし、首の動脈にナイフを入れます。
次の瞬間、血の海になります。
実家では首はすぐには切り落とさずに、少し待ちます。
首を切ったあと、最後の力で少しあばれていました。
それを見ながら義姉から、「今、この羊は天国へ駆け上っているのよ」と言われ、気持ちが少し軽くなりました。
さっきまでケラケラ笑っていた子供たちは泣き始めました。
それを義父が諭していました。
皮を丁寧に剥いていく

羊を宙吊りにし、丁寧に皮を剥いていきます。
それから心臓・内臓を取り出します。
夫が、義父に向かって、「このナイフ、切れ味が悪い」と文句を言ったら、義父は
「ナイフじゃなくて、お前が切れないやつだ!」と言い返していました。
日本でも「切れ者」といいますが、モロッコでも同様の意味で人に対して使うようです。(笑)
羊の頭を丸焼きに

頭は豪快にグリルします。義母がくべている棒で突きながら焼いていました。
胃袋を洗うのは妻の役目
写真を撮り損ねましたが、取り出された胃袋の中身を出して、綺麗に洗うのは妻の役目ということで、やりました。
大きな胃袋は、確かに草しか食べていないとはいえ、なかなかなグロテスク。。。
義母にサポートしてもらいながら中身を出して洗います。
内視鏡でみるようなものを、こうして手で触っていることが不思議な感覚でした。
動物って本当に素晴らしい作りだなぁと、しみじみ思います。(語彙力、、)
心臓の油膜巻き串焼き

犠牲後、初めていただくのはこちらの心臓をグリルし、それを油膜で包んでさらにグリルしたものです。
炭火焼のグリルで、油膜が良い感じに溶け出してとっても美味しいです!
内臓の煮込み

次に新鮮なモツをいただきました。
モツはモロッコ人でも好みがわかれるようで、苦手な人も半数いるようです。
私はモツが大好きなので美味しくいただきました。
(本当はこれにビールがあったら最高なんだけどなと心の中で思いながらいただきました)
子供向けにじゃがいもが入っています。
串焼き

翌日、朝から串焼きをいただきました。
なんていったって肉がたんまりあるので、1週間ぐらい肉を食べ続ける日が続くようです。
タジン

翌日のランチはプルーンの煮込みタジンです。
ほろほろでプルーンの甘さと絶妙なマッチです。
頭部タジン

3日目、ラバトに戻るとき、義母が頭部を調理した状態で持たせてくれたので自宅でいただきました。
初めて羊の頭部をいただきましたが、けっこう味が濃くて好き嫌いがわかれそうです。
美味しく味付けされていたのですが、肉の獣臭が結構きつめです。
脂も多く、一緒に水を取ると脂が固まってしまうので、冷たいものを飲むのは我慢して、食後は熱いミントティーをいただきます。
まとめ:犠牲祭は残酷なのか?

犠牲祭を迎えるまで、夫の犠牲の様子を見ることが平気かどうか、その時までドキドキしていました。
しかし、犠牲祭当日に家族で集まってお祈りをし、家族が羊に敬意を持って接しているのが伝わり、怖いという感覚がありませんでした。
この羊の命をいただくことで、自分は生かされているということを、今まで以上に強く感じました。
犠牲祭というイベントがあるということを日本人に話すと、かわいそうという反応が多いのですが、犠牲祭を終えてみると、このイベントは生きるということに対して考えさせられる良い機会になると思いました。
犠牲なんかしなくても、命が大切だということはわかる、そう思う方もいるかもしれません。
私もそう思っていました。
ですが、実際に命を目の前で感じていただくことは、頭で考えること以上に多くのことを学べます。
今回、参加できたことは改めてありがたいことですし、まだ嫁として未熟ですが、少しずつモロッコに染まれてきている気がして嬉しいです。
今後も大事な行事を続けていけたらいいなと思います。